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関野さんは、そのエッセンスをまとめた本のなかで、「ヒトは『殺生」なしでは生きていけない」として、極東シベリアのトナカイ遊牧民の食生活にふれ、肉や内臓や血のほか、トナカイの骨やひづめまで料理して、全てをみごとに食べつくす様子を感動的に描いています。 まさしく生命を食べることこそが、人間が生きていくために、もっとも必要な行為であることを忘れてはなりません。
したがって、私は自然との共生という言葉を好みません。 厳密には共利共生なのです。
先にも述べたように、水田は稲の工場ですから、自然そのものではありません。 あくまでも人間は、自分たちに都合のよいように、自然を改変してきたのです。
それは、人間が生きていくために必要なことでした。 現在の日本に、人の手が入らなかった自然というものは、ほとんど残っていません。
世界遺産となった東北の白神山地でさえ、自然そのままではないとされています。 食べ物を得るために、人々は、海に出て魚介類や海草を獲ったり、山に入って食べられるものを探したり、動物を追いかけたりしてきました。
さらに植物を育てやすくするため、邪魔な樹木や草木を切り開いてきたのです。 あるいは動物に草を食べさせるなどして、大地を改変してきました。
害虫や害獣を追い払い、自分たちの生命を支えやすい生態系を創り上げてきたのです。 そのためには、絶えず自然に手を加える必要がありました。
文化人類学者のKさんによれば、オーストラリアの採集狩猟民であるアポリジニたちは、自分たちの森に、定期的にクールファイアーと呼ばれる火をつけるといいます。 ユーカリなどの幼木だけを、その油を利用して燃やしてしまうのですが、これによ強い生命力をもったユーカリなどの樹から、食べ物となるベリーなどの草木を守もちろんユーカリも利用しますが、のび育ったユーカリばかりの森になってしまうと、逆に油脂分を貯えて森林火災が起こりやすくなります。

彼らは、森を軽く焼き植生を変えることで、自らの生活に有利な生態系を保持してきたのです。 日本の山には、温帯落葉樹林を代表するブナが、たくさん生い茂っていました。
とこるが戦後の山林政策で、スギの植林を全国的に推し進めました。 今、日本列島どこへいっても、ほとんどが杉山となってしまっています。
スギは用材としては優れているのですが、枝打ちを怠ると、諺蒼として下草が生えず、枯葉ばかりが堆積しますから、土壌そのものが荒廃します。

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